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2014/05/02
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2014/04/01
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TOP > cafe トネリコ 日記 > 極小映画劇場 vol.13「デビルズダブル」
こんにちは店主です。
さて、今回はサダム・フセインの長男ウダイの影武者となった男の話。
昔から権力者の影武者の存在は映画や文学などで語られています。時の権力者が自信の身の安全に備えたり、側近が敵を欺くためにその死を隠すためなど。
黒澤明「影武者」(武田信玄)や「デーブ」(米国大統領)なんてのが有名でしょうか。
手塚先生の「最上殿始末」ではグロい顛末に、先生のダークサイド全開です
上記の3作品での影武者さんたちは最初こそはイヤイヤだったのが、次第に本人になりきることで歴史に介入しようとします。
本作も最終的には影武者が本物と入れ替わり、権力を手中に治めるのかなあと思っていたのですが…
被影武者のウダイですが、権力者の息子にありがちな我が儘で狂気に満ちた人物として、湾岸戦争当時よく週刊誌やタブロイド紙に載っていたことを記憶しています。
政局とはかけ離れた所行ー有名なとこではイラクと日本のワールドカップ予選(いわゆるドーハの悲劇)で負けたら鞭打ちとか家族が人質など、サダム・フセインよりも息子の方が狂犬とされてました。
世の常としてバカ息子はいつの世も手に負えないものですが、本作で描かれるウダイはウルトラバカ息子の極致。
下校中の女子高生を拉致、結婚式当日の花嫁を犯すなど日常茶飯事。スポーツ選手の拷問なども自ら行っています。
そんな人物から影武者に指名された主人公(ドミニク・クーパーの二役が上手。マンマミーアの花婿役とは思えないほど)ですが、検討の余地すら与えられず影武者として生活を共にします。が、本人に感化されるどころか何かにつけて反抗的な態度を繰り返すんですよ。観ている側としては「あっ怒らせた。死刑だな」とヒヤヒヤするのですが、ウダイも自身の完コピに対してある種の感情が芽生えているのか生かし続けます。
物語は影武者が本人から逃げ出し、暗殺を企てるところまで描かれます。
史実では2003年にアメリカ軍によって襲撃の後殺されますが、その前段にそんなことがあったんですね。
知らなかったのですが、この影武者は現在スエーデンに住んでいて映画の原作者でもあるようです。まあ、死人に口無しの極みの本作ですが、本当であれば数奇な運命を辿ったものです。
そう言えばこのウダイですが、三池崇史監督の「十三人の刺客」における将軍の異母弟・斉昭を思い出しました。やはり非道い振る舞いによって周りの人物が軽々しく死んでゆきます。こちらでも花嫁ネタがあり、いやーな気分になります。が、この映画では斉昭の非道な振る舞いについて最後に一理持たせます(あくまで一理のみですが)。「デビルズダブル」のウダイに一理持たせるかどうかで、米軍の現在にいたる中東での行いへのカウンターになったのでしょうが(俺はイラクのアメリカだとかなんとか←へたくそ)。ウダイをただのジャンキーにしか描かなかったのが残念かな。